京都の大学に通う3回生の「わたし」の日常を描いています。ただし、「わたし」というのは、非社会的で少々性格がひねくれております。そんな「わたし」が1回生の春にどんなサークルに入るかで、並行世界として各話独立しています。1話が映画サークル「みそぎ」、2話が同じアパートに住む樋口に弟子入り、3話がソフトボールサークル「ほんわか」、4話が秘密組織「福猫飯店」に入った場合のお話です。
これがいい味を出しています。まずは独特な毒っぽい言い回しです。古風というか漢文調というか、そういった印象を受けつつ、それでいて現代っぽさも持ち合わせています。この言葉遣いがとても記憶に残ります。
「道行く人の魂を狙って舌なめずりする妖怪である。ひとたび占いを乞うたが最後、怪しい老婆の影が常住坐臥つきまとうようになり、やることなすことすべてがうまくいかず、待ち人は来ず、失せ物は出ず、楽勝科目の単位を落とす、提出直前の卒論が自然発火する、琵琶湖疎水に落ちる、四条通でキャッチセールスに引っかかるといった不幸に見舞われる~」
と、毎回説明が加わります。普通であれば飽きるかもしれませんが、これが不思議と飽きさせません。
また、ちょこちょこ実際の地名が出てきて、京都の風景が目に浮かびやすいのも魅力です。前述の木屋町通りや河原町、下鴨神社、賀茂大橋、南禅寺水路閣…。これらの場所に行ったことがない方は、一度訪れてみたいと思えるかもしれません。
果たして歪みに歪んだ「わたし」が求める「黒髪の乙女」に出会うことができるのでしょうか。一読あれ。
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