きたけんブログ

旅と趣味と

奥能登国際芸術祭2023

奥能登国際芸術祭は、珠洲市で開催されている芸術祭で、今年で3回目の開催です。会場が珠洲市内に点在しており、丸二日をあてましたが、少し足りませんでした。過去の芸術祭の作品も継続して展示されていますからね…

塩田千春《時を運ぶ船》

会場の旧清水保育所のまわりでは塩田が広がり、奥能登の製塩業が廃れた後も揚浜式製塩を守り続けた故・角花菊太郎氏のエピソードから、塩田用の砂取舟と赤い糸がその記憶や歴史を表現しています。

ファイグ・アフメッド《自身への扉》

波打ち際に建てられた鳥居は、「日の出と日の入りの間に立ち、それは人生における二つの側面を表している。」作者も語っていますが、門をくぐる行為はある種の儀式なのだとか。

アレクサンドル・コンスタンチーノフ《珠洲海道五十三次》

路線バスの停留所を、貝殻が真珠を包むように格子状の構造物で包み込んでいます。

山本基《記憶への回廊》
山本基《記憶への回廊》

保育所だった建物で、床、壁、天井一面に白い模様のドローイングと、塩でできた庭園と階段がそびえます。

小野龍一《アイオロスの広場》

ピアノから伸びたワイヤーに触れて演奏することで、複数人でセッションできるようにしたインスタレーション。誰もいない…

トビアス・レーベルガー《Something Else is Possible/なにか他にできる》
トビアス・レーベルガー《Something Else is Possible/なにか他にできる》

廃線となった能登線の終着駅・蛸島駅に、「旧鉄道の終着点を地域の再生と未来を望むような場所に」という思いで制作されたそう。遠くには廃車となった車両が寂しくたたずみます。

中島伽耶子《あかるい家》

家の壁や屋根に無数の穴をあけ、アクリルで埋められています。さながら星空のよう。

坂茂《潮騒レストラン》
坂茂《潮騒レストラン》

ヒノキの木を圧縮し、鉄骨のように構造体としています。本芸術祭のメイン会場でもある、スズ・シアター・ミュージアムのレストラン・ショップになっています。

スズ・シアター・ミュージアム
南条嘉毅《余光の海》

廃校となった小学校の体育館をミュージアムに改修した「スズ・シアター・ミュージアム」では、珠洲の古代の地層から掘り出した土で砂浜をつくり、海の映像を投影し、地域で集まった民具を音楽や映像で演出するインスタレーションが行われています。

小山真徳《ボトルシップ》

珠洲の海岸に打ちあがった漂流物から「ボトルシップ」に。

吉野央子《回遊の果て》

民家の座敷に海洋生物や魚の木彫作品が並びます。

シリン・アベディニラッド《流転》

漁具倉庫だった場所に、保管されていた漁網を天井に張り、その上にシーグラス、割れた酒瓶を並べ、床に影を落としています。

ラックス・メディア・コレクティブ《うつしみ》

旧上戸駅の駅舎と同じ形のフレームが、屋根の上に傾けておかれています。さながら幽体離脱。

地域の足だった鉄路が廃線となり、それを題材、着想した作品が多かったですね。

二三味珈琲

おまけ。映画「さいはてにて やさしい香りと待ちながら」(2015)のモデルになり、奥能登で有名な二三味珈琲にお邪魔したら、《猫の小林》が顔を覗かしているではありませんか。作家の飯川雄大さんと店主が交友あるのだとか。

2023/10/10-11