上橋菜穂子「蒼路の旅人」

「精霊の守り人」シリーズ第6作は、新ヨゴ皇国を舞台に壮大な物語が展開されます。主人公であるチャグム皇太子は、潔癖症という性格と、民衆からの圧倒的な支持によって父帝から冷遇されていました。

そんな中、海の王国サンガルは強大なタルシュ帝国に侵攻されつつありました。サンガルの苦境を知った新ヨゴ皇国には、サンガルからの援軍要請が届きます。しかし、それは明らかなタルシュ帝国の罠でした。そうと知りながらも、帝はチャグムに艦隊同行を命じ、チャグムらは南の大海原へと漕ぎ出します。

今作の魅力の一つは、宮廷内のいざこざ、サンガルの苦境、そしてタルシュ帝国の内部抗争といった様々な要素が複雑に絡み合い、濃密なドラマを生み出している点です。ファンタジー世界を舞台に繰り広げられる人間模様は、どろりとした生々しさの中に、どこかユーモラスな一面も感じられます。

また見逃せないのが、チャグム皇太子の成長です。「精霊の守り人」の頃はわずか11歳でしたが、今作では15歳に成長し、国を背負う為政者としての決断を迫られる場面もあります。彼の成長していく姿は、読者の心を強く打ちます。

結末への期待も高まります。「天と地の守り人」では、タルシュ帝国との戦争が本格的に勃発するのか、あるいは阻止できるのか、あるいは降伏してしまうのか。その行方が今から楽しみでなりませんね。

コメント

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください